ダム名 笹流ダム(ささながれだむ)
ダム形式 バットレス式ダム
河川名/水系名 笹流川/亀田川水系
所在地 北海道函館市陣川町
着工年/完成年 1921年/1923年
用途 上水道用水
堤高 25.3m
堤長 199.3m
堤体積 36,000m3
総貯水量 606,000m3
有効貯水量 576,000m3
ダム湖名 笹流貯水池
笹流ダムは、函館が日本有数の貿易港として栄えていた大正時代に、不足する水道用水を補う目的で建設され今でも現役で働いている上水道専用のダムで、その形式は日本で初めてのバットレス式ダムです。バットレス式ダムとは、水を遮る鉄筋コンクリート製の板をバットレスと呼ばれる扶壁で支え、さらに扶壁同士を何本かの桁で繋いだ構造のダムを言います。こうすることによって当時は高価だったセメントの使用量を減らすことができ、工期も短縮されるため、大幅な建設コストの削減が可能になったそうです。ただし、ほかの形式のダムと比較して複雑な構造であり、頻繁なメンテナンスが必要になるため、日本では大正から昭和初期にかけて計8基が造られたにとどまり、現在では6基しか残っていないという、たいへん貴重な形式です。
笹流ダムは建設から60年以上が経過した昭和59年に耐震性などの強化のための大規模な改修工事が行なわれ、竣工当時の骨格は残しつつも独特の風格を備える姿に生まれ変わりました。堤体の下流側は手入れの行き届いた公園になっており、一瞬ヨーロッパの古城か宮殿にでも迷い込んだかのような錯覚に陥ります。
ダムとしては非常に小規模ですが、日本のダムを語る上では外せないダムのひとつで、北海道に行った際はぜひ押さえておきたいところです。