ダム名 塚原ダム(つかばるだむ)
ダム形式 重力式コンクリートダム
河川名/水系名 耳川/耳川水系
所在地 宮崎県東臼杵郡諸塚村大字七ツ山
着工年/完成年 1926年/1938年
用途 発電
堤高 87.0m
堤長 215.0m
堤体積 363,000m3
総貯水量 34,326,000m3
有効貯水量 19,555,000m3
ダム湖名 塚原貯水池
住友財閥による耳川の電力開発の一環として昭和13年に完成した塚原ダムは、戦前から戦後の昭和30年に岐阜県の丸山ダムが完成するまで日本最大のダムとして君臨し、現在も現役で活躍する発電専用の重力式コンクリートダムです。2004年には国の登録文化財に指定されています。
外観は基本的にオーソドックスなシルエットで、クレスト部に8門のラジアルゲートが整然と並んでいます。しかしよく見ると越流部の両端に塔のような突起があり、そこから両岸にかけてまるで万里の長城や中世ヨーロッパの古城を思わせる凹凸を持った壁が続いています。これほどの巨大建造物は当時の技術者たちにとっても未知の領域だったはずで、彼らにすればまさしく城や要塞のようなイメージだったのかも知れません。建設に際しては約40km離れた延岡市からロープウェイが敷かれ資材運搬などに使われるなど、当時の日本の最先端技術を駆使した工事が行なわれました。ちなみにそのロープウェイは、この後さらに上流に建設された上椎葉ダム工事の際にも使用されたそうです。
堤体にはクレストゲートのほか、ゲートの脇に発電用の取水口を備えている以外に目立った装備はありませんが、完成から約70年という歴史を感じさせる色合いや、日本最大だったという事実が訴えかける風格など、目前にものすごい存在感で迫ります。塚原ダムが完成してから戦争をはさんで17年後、初めて堤高100mに迫る丸山ダムが造られ、その2年後には上椎葉ダムが完成、以後、五十里ダムや佐久間ダム、小河内ダムなどが次々完成し、日本の大規模ダム開発が本格化していったのです。