ダム名 白水堰堤(はくすいえんてい)
ダム形式 重力式コンクリートダム
河川名/水系名 大野川/大野川水系
所在地 大分県直入郡荻町大字柏原
着工年/完成年 1933年/1938年
用途 灌漑用水
堤高 14.1m
堤長 87.3m
堤体積      m3
総貯水量 600,000m3
有効貯水量     m3
ダム湖名 白水溜池
「日本で最も美しいダムは?」と聞かれたら、私は間違いなくこの名前を答えるでしょう。阿蘇山のふもと、大分県の西南端にある竹田市と荻町の間を流れる大野川に造られた白水堰堤は、堤高15m未満であるため河川法上ダムではないものの、その優雅な美しさで多くの人を魅了し続けている堤体です。
完成したのは昭和13年で、この堰堤によって下流に水を安定供給することができるようになり、永年水不足や水争いに悩まされた周辺農家の生活を一変させることに成功しました。しかし何と言っても、この堤体最大の魅力は流れ落ちる水流の美しさであるということに尽きます。堤体は石積みの全面越流式で左右非対称なデザイン。右岸側と左岸側で全く異なる表情を見せる水流は眺めていて飽きることなく、時間が過ぎるのを忘れてただ呆然と立ち尽くしてしまいます。中央部は直線的な越流部ですが、石積みの堤体の表面を流れる水がレースのカーテンのような印象です。ちなみにこの芸術的な堤体のデザインは美的演出だけでなく理論的にも裏付けがあるもので、流量の多いときには左右両岸側を超えた水が中央を向いて流れ落ちることで水勢を相殺して洗掘を防ぐというもの。このような機能とデザインを両立させた河川構造物が昭和初期に造られていたのは奇跡と言っていいかも知れません。1999年には農業土木関係として初めて国の重要文化財に指定されました。
ダムまでの道は非常に分かりづらく、くねくねと細い農道を延々と走ることになります。さらに専用の駐車場から堤体までの約800mは一般車通行禁止のため、仄暗い森の中を15分ほど歩かなくてはなりません。しかしその程度の苦労は堤体を見た瞬間に吹っ飛びます。